一般教養としてのパチンコ講座
僕はパチンコ・スロットをやる。
と、言うと、紳士淑女の多いはてなブロガーさんは、きっと頭上の「?」を「!」に変えて、おもむろに「!」を手にしたかと思うといきなり殴りかかってくるのだろう。
まあ、それは構わない。構わないが、一つだけ問いたい。
「あなたたちはパチンコ・パチスロについてどれだけ知っていますか?」
現在パチンコ・パチスロは約1150万人のユーザーを有する一大娯楽産業であり、日本社会が抱える病理だ。にもかかわらず、それが一体どういう遊びであるかという点はあまり浸透していないような気がする。TVドラマも見てもパチンコ・パチスロというとだいたい「スリーセブンが揃わなくて台の前で落胆する」か「茫然自失で店から出てくる」描写ばかりでこれで本当に伝わってんのかしらと思う。
まあ、パチンコ・パチスロというものはマスターベーションと同様に後ろめたいもので、口伝えで広まっていくものだがら仕方が無いが、これだけのユーザーがいる以上、性教育同様、社会全体にある程度の教養が無いと逆に不健全だ。
と、いうことで今回はひとまずパチンコについての超基礎知識をお伝えしよう。
1、パチンコとは
下の写真が今パチンコ店で大人気の台「牙狼」である。構造について簡単に説明を入れたのでご覧いただきたい。
どうだろう?なんとなくはお分かり頂けただろうか。
まず、パチンコのゲーム性としては①のレバーを回すと玉が打ち出され、その玉が②のチェッカーに入れるところから始まる。
②のチェッカーに玉が入って初めて「当たり・ハズレ」の抽選がうけられるわけだ。
抽選結果は中央の液晶に表示される。しかしただ表示されるわけでは無い。
結果発表まで長くて3分ほどのショートストーリーを鑑賞させられる。だいたい同じ様なやつを。え?意味不明?僕もそう思う。
鑑賞後、画面上に「777」とか「333」とかそういうゾロ目が「完全に停止した状態で」表示されていれば晴れて「当たり」ということになる。
当たりとなると、③のアタッカーが開く(普段は閉じている)。このアタッカーに玉を入れれば1玉につき15玉もらうことができる。もちろんアタッカーに入れられる玉の上限は決まっていて、最大は150玉。これだけアタッカーに入れられば2400玉は出てくるわけで、つまり元手が16倍になって返ってくるということだね。すごい。
さらに、当たり後、一定の確率で「確変」というモードに切り替わる。
ざっくり説明すると、最大80%の確率でこの大当たりが短期間に繰り返されるのだ。もちろんその間、持玉はほとんど減らない。80%の確率の当たりを引き続ける限り無限に玉は増えていくのである。
すごい?まあこの魅力が人を狂わすんだけどね。
2、どのくらいの確率で当たるの?
だいたい1/399〜1/71位の間で台ごとに異なるが、どれも分母は引かれることなく一回ごとに同じ確率の抽選をうけなければならない。もちろん当たる確率が少なければ少ないほど、当たった時にもらえる玉の数は多い。そしてその分リスクもでかい。
ちなみに先ほど話した「確変」とはこの当たり確率が変わることを言う。例えば1/399が1/100に変わるという具合だ。まあ、「確変」状態に切り替わる確率は「当たりの1/2」とかだから、かなり低い。仮に1/399で当たる台なら確変確率は約1/900とかになるわけだね。
3、増えた玉はどうするの?
お金に変える(直球)
ただ、日本はギャンブルが禁止されている国だから、当然パチンコ屋で現金がもらえるわけでは無い。その代わりパチンコ屋は、ケースに詰められたコインやら、金やらを何も言わず景品を差し出してくる。で、パチンコ屋の周りにはなぜか必ず、ケースに詰められた金やコインを欲しくて欲しくてたまらないお店があるのでそこに景品を売ることによって、僕らは現金を出にすることができるのである。
いわゆる「三店方式」興味のある人は調べてみるといいと思うよ。
4、結局どのくらい儲かるの?損をするの?
さて、問題のお金の話である。1玉の値段、台の確率、色々バリエーションがあるがここでは一番オーソドックスな1玉4円の玉を使い、冒頭紹介した「牙狼」という台(当たり確率1/399)打ったと仮定しよう。また、千円でチェッカーに玉が入る(抽選をうけられる)回数は14回とする。
まず儲けた例
わずか千円で当たって「確変」状態になってそこから10回当たりを引いたとすると、玉数計算で
1960×10−250=19200
となり、手元には19200玉、現金に換算して76800円残ることになる。
この間1時間弱、それで千円が77倍である。しかも、当たり回数に上限は無いから確変がさらに続けばその度に1960玉(7840円)プラスされていく計算になる。
錬金術ですらいろいろな生贄やら素材を必要とするのになんだこの魔法は!?といった感じである。
逆に損した例
一切大当たりが引けずに確率の倍である800回も回してしまった場合だ。
800÷14(千円で抽選をうけられる回数)×250(千円で買える玉数)=14285
である。
これを現金にするとパチンコにつぎ込んだ金額は約57000円。要した時間は約四時間。その間、ただただ、お金を捨てていた計算になる。身も凍る様な話だ。そしてパチンコには当たるまで終わりが無いから意地を張り続けている限りお金を捨て続けることになる。
「なんか極端すぎるんじゃ無いの?」とお思いのあなた。こんな事はパチンコ屋では日常茶飯。
というか、このレベルの金額の上下が1日単位で頻繁におこっており、午前中5万円負けてて帰る頃には3万勝ちなんて珍しくも無いのが現在のパチンコ屋なのです。
今回は以上。
少しはパチンコ無知識の皆様にパチンコがどういうものか伝わっただろうか?
これを読んでどう考えるかはあなた次第、とりあえず知っておいてそんは無いはず。
※パチンカーの皆さんへ
この説明はあなたたちから見るとかなりガバガバだと思います。ただあくまでも一般的な解説なのでもし見てもそこまで目くじらを立てないでください。「店に有利に書きすぎだ!」とか。
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