IT屋を「正しく値切る」ためにはどうすればいいのか?

僕は概ね「正しい消費者でありたいな」と思っている。「正しい消費者」とは相手の労力を尊重し、力関係を利用した無茶な値引きを要求せず、適正価格を詰めていくとか、そういう感じだ。

僕がこう考えるようになったのは「はてブ」の影響がかなり強い。どうやら非常識な発注エピソードのニュースが出るたびにコメント欄に書き込まれるはてな民の嘲笑や怨嗟のうねりにあてられてしまったようだ。特にIT関連には同情的で、定期的に上がってくる「非常識な発注をしてきた業者を速攻断ったら、最終的に泣きついてきたわw」的なスカッとエピソードではなぜが自分まで気持ちよくなっていたし、IT関係者が語る「お前らが簡単に言ってくる修正はすげえ手間かかるんだからな!」という抗議には素直に頷いていた。

そんな僕が社内のアプリケーション開発企画の担当者になってしまった。

しかも、中小企業にありがち社長が唐突に開発を思い立って、どこかの友達のつてて開発会社とコンタクトをとり、後は社員に丸投げという一番わけがわからない案件になりがちなパターン。

当然すぐに開発は迷走した。社長以外に企画のゴールがわかるものがおらず、でも当の本人は我関せず。社長を忖度した結果、意味不明なオリジナル仕様を幅広く実装され、その都度出てくる不具合や不親切さはよく考えもせずその場しのぎの思いつきで対処。ほぼアプリがまとまった時に突然社長から仕様変更が言い渡されるという「あるある」も付いてくる。最初は意欲的だった開発会社も付き合いきれないと判断したのか、言われた通りに作業をする「大工さん」になってしまった。

そして、いつのまにか開発チームの目標は「動くアプリケーションを作る」というところまで落ちていた。

結果としてリリースしたアプリケーションは動いた。

でも案の定、不親切なインターフェースと不完全な機能性がかなり高いレベルで融合た、まさにプログラミングされたトマソン(知らない人はググって!)みたいな代物になってしまった。

当然、社内からの改善要求も半端ない。今、大急ぎで改修プランを練っている。

そこでネックになっているのが「改修費用バカ高い」問題だ。

リリースまでは費用は一定(安くはない)という契約だったものの、その後の改修には都度お金がかかるようで、その高額さに驚いている。最近は

「え、ちょっとページの階層を帰るだけですよね?」

「実装済みの機能を別の場所に移動するだけですよね?」

「それって、構築済みのDBにデータ流し込むだけですよね?」

という、はてな民の前で口に出したらフルボッコ間違い無しの言葉を飲み込んでは、「ああ、そうなんですか…」歯切れ悪くオールペンディングの毎日だ。だって一箇所の改修でそれまでの開発費の10%くらいかかるんだよ?

とはいえ社長は社長で、そもそもエンジニアの技術とか労力に敬意がなく「こちらが望むものができていないのは開発会社の責任だ!」とか、それこそtogetterでバカ発注先エピソードとして拡散されそうな極端な言葉を繰り返している。

はてブに毒されている僕は、気分的には開発会社から「エンジニアを動かすんで」と言われてしまえば、ポリティカルコネクト的にOKを出したい気分になる。でも、結局「ボラれるのでは?」という疑いは消えない。とはいえ社長の意見をごり押しして、ネットに拡散されているような老害の仲間入りはちょっと遠慮したい。

今更、相見積も無理だ。

さて、「正しい消費者」を目指す僕はどう行動すればいいんでしょう?