アニメの見過ぎは鬱の気配

とても暇で、かといって出かけるあてもないのでhuluに入会した。というとネット民は「今時huluでアフィなんてアンテナ低すぎて草」というだろうし、もっと僕を知る人なら「お前はクレジットカードを作れない体では?」「っていうかそんな事より金を返せよ!」と思うだろう。

 

僕はいまさらhuluでアフィなんて考えてないし、お金を返す気もない。確かにクレジットカードを持てない体だけど、今は携帯キャリア決済がある(限度額は3000円だけど)。

いいじゃないか月々千円くらい。ご存知のようにhuluは暇つぶしには最高のコンテンツで、暇しかない僕の時間が無駄に潰れるのだから。時間が余っていれば僕は必ずパチスロに行く。必ず。それを思えば逆に節約ですよこれは。

 

とにかく僕は金儲けと良心の呵責を一切無視して自由意志でhuluに入ったのだ。

真っ先に見たのはあの有名なアニメ攻殻機動隊。近々ハリウッド映画公開で期間限定の配信らしい。

とても面白い。

どのくらい面白いかというと、もう始まって5秒で面白い。面白さかわかるまで60分かかって120分たったところで「あっ、これディストピアSFの皮を被ったクソアニメだ」と思い直したサイコパス二期とは明らかに違う。

面白すぎてそのまま全話見てしまった。

だから僕は今日はパチスロにいけなかった。いいこと。

 

ただ、こんな初見風のことを書いておいてアレなんだけど、実は僕が攻殻機動隊を見たのはこれが初めてでは無い。少なくとも全話通して3回は見ているはず。なのに心の底から面白いと感じたのは今回が初めてだ。それどころか今まではロクにストーリーすら頭に入っちゃいなかった。

 

たぶん見た時期が悪かったのだろう。ほとんど谷のような僕の生活の中で、攻殻機動隊に触れていたのは、その谷のとりわけ深い所でクレバスに挟まって身動きが取れなくなっていた時だった。

一番最近見たのは2年前。

もちろんそんな酷い状況に陥ったのはいつものように僕の怠惰や無能が原因だったのだけれども、それにしたってアレは残酷な体験だったように思う。無能や怠惰を隠すために精一杯おどけて周りの同情を乞うしか僕には方法がなかった。でも周りは許してくれないし、歩みを止めてもくれない。結局最後には僕は、立ち上がることもできなくなってひたすら殴られ笑われっぱなしの何かに成り下がった。

 

その間、僕は歯も磨かず風呂も入らず洗濯もせず、1週間同じ下着を履きっぱなしのままテレビだけを見つめていた。その時テレビ画面に写っていたのが攻殻機動隊で全シーズンを一気に見たことを覚えている。見終えた時にはもう空は明るくなっていた。その日は平日なのに。

おそらく、僕は全く見てはいなかったのだろう。物語とか映像美を認識する気力もなく、ただただ、何も考えたく無いから、思考を止めたいからひたすら頭に映像を流し込んでいただけだ。

今から考えれば鬱状態だったんだと思う。

回復して僕はようやく思考を取り戻し攻殻機動隊を楽しめるようになったのだ。

 

世の中にはアニメに夢中、本に夢中、アイドルに夢中・・いろいろな人がいて、それぞれが思い思いに楽しんでいるように見える。

でも、本当は暗い谷に嵌っていて、考えることが嫌になってしまっている人もいるのかもしれないな、なんてことを僕は時々考えてしまう。