「自分を売る」タイプの営業ってただの泥棒じゃん

いやいやながら、毎日営業をやっている。今の職場は別にノルマも無く、取引先も安定していて、頑張れば定時で帰れるような営業界において割と得難い会社だと思うけれど、それでも毎日憂鬱だ。なんていうか営業職独特の「取引先に取り入ろう」とか「(人に)特に好かれよう」とかそういう思考方法が嫌なんだろう。

まあ、半分は僕のひねくれた心が原因とはいえ、実際、未だに営業職には「自分を売る」的な思想が根強くあって、同年代の僕の同僚なんかは、毎回取引先のイベントに顔を出したり、夜の会合を開いたりと常に自分を売り込んでいる。

この傾向は年配の会社員になればなるほど強い。お中元・お歳暮・年賀状は欠かさず、取引先の飲み会には家族を泣かせても参加な「取引先をいかにプライベートに引きづり込むかが勝負」と言わんばかりの検診っぷりに、口下手&弱気営業マンの僕にしてみれば本当に頭が下がる。爪を剥ぎ取れるなら剥ぎ取って煎じて飲みたいぐらいだ。

 

ただ、一つ気がかりなのはそういう「自分を売る」タイプの営業マンの中には、信じられないくらい「自社商品に興味も知識も無い人」が多くいるということ。

確かに商品を知らずとも関係性だけで売れるってのは、営業として尊敬すべき才能に違い無い。ただ、同時にこうも思ってしまう。

 

それってただの泥棒じゃね?

 

商品のことを良く知らないのだから、当然それが取引先に合うのかどうかもわからない。でも、主力商品だから・・・営業成績になるから・・・という割と些細な理由で、彼らはろくに商品の説明もしないまま、取引先に売ってきてしまう。悪く言うとこれはもう詐欺に近いんじゃ無いのか。

 

もうやめにませんか?そんな営業。

 

昔は、営業といえば「南極で冷蔵庫を売り、アフリカでコタツを売る」と言われるくらい、とにかく何でも売ることに特化したソルジャーだった。金も動いている時代だったから、取引先にうまく取り入れれば簡単に予算は付いたのだろう。

でも今は違う。そんなデタラメなマーケティングを見抜くくらいお客さんは賢くなっているし、いくら関係性が強いからといってこちらの全てを受け入れてくれるほどの余裕も無はずだ。それに、下手すれば取引先の担当者にも泥棒の片棒を担がせてしまいかねない。

かくゆう弊社もこの時代の変化についていけず苦しんでいる。それでも「自分を売るタイプ」の先輩社員は「あー、もう少し接待を増やさないとな!」とか以前の成功体験から抜け出せず、ふざけたことを言っている。

もう泥棒はバレたのだ、じゃあ他の食い扶持を探さにゃジリ貧だろうに・・・。

 

いまの営業に本当に求められているのは企画力と実践力なのかもしれない。

まず、ちゃんと考え根拠を持った企画とそれを動かせる社内的な力があって初めて、取引先と建設的で対等な関係が築けるのだろう。接待はその後だ。

 

だから僕は、毎日朝から外出する同僚を尻目にせっせと企画書を書いている。

泥棒にならないために。

まあ、徒労に終わることも多いけれど、企画がハマれば口下手で弱気な僕でも、取引先と対等な気持ちで楽しく盛り上がれるからいくら営業嫌いとはいえその瞬間は楽しいよ。

なんてたって自分が作った企画、取引先の顔色を伺う必要なんて無いのだから。