凡人の煌めきを見せてくれるアイドル藤田恵名について
AKBとかももクロとかのアイドルに僕が今ひとつハマれないのは彼女たちの圧倒的な「正しさ」のせいだと思う。厳しい下積みからプロとしての意識を得て、熱狂的なファンの応援のもと芸能界の第一線で戦う。頑張ったものは報われる。報われなくても絵にはなる。まるで高校野球のような「正しさ」があって僕はその煌めきがどうも苦手だった。才気溢れる若者のぶつかり合いに自分を重ねて絶望してしまうということもあるけれど、あまりに煌めきすぎて「同じ人間とは思えなかった」というのが本音のところだ。どんなトップアイドルも高校球児も僕には「彫刻」のようにしか見えなかった。確かに彫刻は美しい、でもその美しさに心が洗われるほどの感性を僕は持っていない。どこまで行ってもあれは無機物だ。
そんな僕がちょっと最近気になってるシンガーソングラドルがいる。
藤田恵名さん。水着で歌ってるから「シンガーソング」「グラドル」。
youtubeでスロット番組を見てて、ちょっと似つかわしくない普通オーラの人で(あの界隈の人は凡人とは違う雰囲気がある)、まあ金のために仕方なくやってんだろうな、と思ったら案の定、関連動画で歌手であることがわかった。で、聴いてみた。
失礼を承知で言うと、第一線で活躍するほどの突出した力は感じられなかったし、年齢から考えてもそろそろ危ない。もう限界は近いがする。
でも、すごく良かった。少なくとも僕にはこの数年間で一番刺さった歌だった。絞り出すような迫力に凡人の120%を見せつけられたような気がする。それに水着を通して放出されている生身の体のパワーもすごい。「裸一貫」という言葉あるけれど、それを地でいく力強さや、たくましさが相当な熱量を持って迫ってくる。もちろんスタイルもいい。
まあ、「エロ目線じゃないんです!」と言って女の人は信じてくれないだろうな。
と、ここで藤田さんのtwitterプロフィールを見てみよう。
色々やりすぎだ。麻雀でも仕事を募集してる。どこかで読んだ話だと藤田さんは「売れたい!」という思いがとても強いようで、それでこんなことになってるらしい。水着で歌い始めたのも誰かからの売れるための提案だったとか。
やっぱり限界だ。多分本人もそれを感じてるんじゃないかと思う。ただ普通と違うのは藤田さんは生き様や歌を含め限界を限界のまま見せてくれることだ。だからこそ、その凡人がしめせる限界精一杯の鬼気迫るライブは本当にカッコイイし、直接押されているように心に重く響く。何よりなりふり構わないその姿がとても人間臭くて僕はとても好きだ。
この先、藤田さんの限界がいつまでもつのか?もしくは限界突破して大ブレイクするのかは僕にはわからない。
ただ、いつかどこかのタイミングでちゃんと服を着て歌えるようになれれば良いな、と思う。