【レフト・ビハインド】年始早々、クソ映画に救われた

死んでいない程度には復活したとはいえ、年始の僕は散々だった。友達もいないし、やることもないしお金はないし、でもここは実家で、要するに1秒ごとにアラサーとは思えず不甲斐なさを突きつけられていた。こういう時は、余計なことを考えられないように頭に常に不必要な何かを詰め込んでおくのが一番。読書とかスマホとか、そう、みなさんがよくしているようにね。

とはいえ、本は体力がいるしスマホはもう、ちょっと・・・。そこで今回僕が選んだのはNetflixだった。映画のラインナップが充実していたのもそうだけれど、何よりNetflixはクレジットカードがいらない。コンビニで買えるNetflixプリペイトで決済をすればOK。アマゾンプライムもフールーもカード必須なので僕には実質これしか選択肢がなない。クレカを持てた時にはコンビニに並ぶプリカを見て「なんで、こんなもの買うんだろうな」と思っていたけれど、カードを持てなくなって有り難みがわかる。ブラック民のライフライン。レジでまた僕は不甲斐なさを突きつけられた。

さて、そんな感じでうまいことNetflixに入ってまず見た映画がこちら。

movies.yahoo.co.jp

あらすじはこれ。

何の前触れもなく、世界各国で数百万もの人間が消失するという異常な事態が発生。各種通信網やエネルギー網といったライフラインのシステムはダウン、さらに消失を逃れた人々は不安に駆られて混乱し、一部が暴徒化してしまう。そのころ、パイロットのレイ(ニコラス・ケイジ)が操縦するジャンボジェット機でも、多くの乗客が荷物と衣類だけを残して姿を消す。管制塔との連絡もつかない状態に陥りながらも、彼は地上に残してきたまな娘との再会を信じて帰還を果たそうとするが……。 

 なんだか、すごい収拾のつかなそうなプロット。「『世界各国で数百万もの人間が消失するという異常な事態』が起こっているならもう、旅客機一機、落ちようが落ちまいが誤差なのでは?それがメインのお話なのですか?」と思っていしまうような竜頭蛇尾感があらすじの段階で漂っている。まあ、何も考えたくない今の僕には多分これくらいがちょうどいいと思って見始めたのだけれど。

 

冒頭は日常パート。登場人物紹介だね。とても普通の流れ…いや、薄いな…。こう言う映画は大抵「おやっ?」と思う伏線が隠れているものだけれど、そんないい感じの不自然さが全然ない。「お父さんがアメフトの選手なの!」って未曾有の大惨事に何か関係あるんですかね(ない)。あと、その隣席の人がアメフト賭博やってることとか。結局、このパートでは父親が空ドラマ担当で娘が地上ドラマ担当らしいことが把握できたくらい。あ、あとお父さんはCAと不倫してます。まあ、どれも本筋とは関係ないんですけど。

ちなみにこの薄い日常パートに割いた時間は30分。多すぎだろ!と思ったけれど本編が2時間弱あるので問題はないか。え、2時間弱も…

 

さて、本当の意味でのだらだらとした日常を経て、ようやく人間消失の時。数百万人が消える瞬間がこちら!

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 これは…ヤバい!この消え方はもう絶対帰ってこないタイプの消え方だ!

なんの前触れも伏線もなく、なんの誤魔化しもきかない感じでその場から消えてしまった。しかも服だけ残して。これじゃあ、仮に消失した人々(子供が大半)が超展開で帰って来たとしても全裸必須だし、もちろんアメリカ社会が何百万人の全裸の子供の登場を許すわけがなく、つまり元の世界に人々を戻す気はないと言うことだ!

開始30分にして物語最大の事件が発生し、かつ解決されないことが濃厚となってしまった本作品、どうなるんだ…。

 

とはいえ、一応この映画に推理パートはあったりする。でも、「一回飛行機を着陸させて、私の子供を誘拐したんでしょ!」とかいう、真相に掠りもしなさそうなエピソードが延々挟まれるのでここは割愛。人が消えた真相をネタバレしまーす。

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(これ、時計の針とデジタル表示の関係性どうなってるの?)

この事件の犯人は神!なんでも、キリスト教には「スゲーやべー時代に突入する前に、神様は熱心なキリスト教徒と子供だけを神の国に連れて行ってくれるよ!」と言う伝説があるようで、その通りになったんだって!バーカバーカ!

やっぱり人々は帰ってこないことが確定したわけです。

この謎が解けてからはしばらく登場人物の懺悔タイムが続く。「不倫してたんだー!」とか「金や仕事で頭がいっぱいで家族を帰り見てなかったわ…」みたいな。でも追加合格で消えるとかはない。神は偏狭で無慈悲。

 

はーい解散!解散!と叫びたいとろだけれど、これでまだ1時間30分。解かれるべき謎も、解決されるべき事象もなくなってしまった物語をあと30分どうやって持たせるかといえば、もう今更どうでもいい「飛行機が落ちるか落ちないか」と言うパニックアクションだ。多分、脚本的にも山場を作るためだけに用意された感じなのだろう。出来が酷い。人が消えたのは仕方ないとしてなぜ無線も全部使えなくなるのか。昇降舵が壊れた機体で建設中の道路に着陸ってそれこそ神の寵愛を受けてないと不可能なレベルでしょ。

 

それでも…と言うか案の定、地上担当の娘の頑張りとか色々あって飛行機は無事着陸。親子は神に取り残された者同士感動の対面をする。

そして最後はパニックで燃え盛るニューヨークの街を見て「この世の終わりのようだ」と呟く男に娘が、

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と言い放ってエンドロールへ。

助かったのに全然嬉しくねーーー!!ホラー映画の終わり方だよこれ!なんか感動風の音楽流れてるけど!

結局、神に見放された人たちはダメなんでしょ?地獄のような時代を生きなきゃいけないんでしょ?

飛行機の件を妙に感動的にしちゃったから感情のやり場が行方不明になっちゃったよ!

 

ちなみに、あとで調べて見たら、これ6500万部を売り上げたキリスト教原理主義小説が原作だってね。多分、こちらで言うところのハッピーサイエンス「エル・カンターレ、ファイト!」みたいな感じじゃないかしら。にしても、どこにどんな「教え」があったのか全然わからん。

 

とんでもねえ、トンデモ映画だ。

 

とはいえ、僕はこの映画に出会えて良かったと思う。何も考えたくないが為に見たはずのクソ映画に心を揺さぶられてしまった。「どんなに落ちぶれたからって、さすがにこれは見過ごせねえなぁ!」という激しい思いがどうしても抑えきれなかった。何も考えたくないほど落ち込んでいたのに。そして少し元気になった。

 

もしかするとこれも神のご加護の一種なのかもしれない。

皆様も落ち込んでいるときには映画「レフト・ビハインド」を是非。