「中小企業の社長とIT」は最悪の組み合わせ

以前の日記にも書いたけれど弊社でアプリ開発が進行中だ。

www.arihuretajiken.com

ことの発端は、減収減益の現状に業を煮やした社長の鶴の一声。しかも、その声を発した時にはすでに業者が後ろにスタンバっているという気合いの入りよう。さらに業者は社長の友人。

こういう時の社長は自己顕示欲と自己愛と正義感が極限まで高まっていて最高にヤバイ。勇ましいことを言ってはいるが、実のところスーパーで駄々をこねる幼児と変わらず、伝統的に受け継がれてきた「創業一族の二代目」というバットステータスの強さを感じる。まあ、もちろんヤバイのは弊社なのだが。

 

バーサク状態に入った社長を止めることは社内という結界の中では誰にもできないので、とりあえずその場で「アプリ開発」は決定。誰もが腑におちないような顔をしていたのは、きっと駄々っ子にうんざりさせられたせいだ。

 

かくして、先日初めての「アプリ開発会議」が開かれた。

静寂の中に「うんざり」という擬音がけたたましく響いている会議室の中で社長はアプリ計画について延々と「アプリを作れば売り上げが上がる!売り上げが上がれば全てがうまくいく!」という事を違う言い回しで言い続けていた。

「アプリ会社の友人」は終始頷きながら聞いていたが話が5ループ位したところで、呆れたような顔をしだしたのを僕は覚えている。もともとお前が焚きつけた話だろうに。ひょっとすると社長の周りにはこういう人しかいないのか。そう思うとちょっと社長が哀れに思えた。同情はしない。

だいたい「アプリを作ることが決まったので、どんなアプリを作るか考えろ!」なんていう話がまかり通ると思っていること自体が頭がおかしいのだ。

確かに、弊社には他社に負けない強みがある。でもそれは即死魔法みたいなもので、きく奴には絶大な効果を発揮するけれど、効かない奴には全く効かない。そして多分今回の敵は効かない奴らなのだ。それも全然わかっていない。

まあ、もしかすると「枯れた技術の水平思考」とやらで弊社の強みをアプリ開発に活かせる可能性はあるかもしれないけれど、何故かその強みを支える後方支援部署は会議に呼ばれていない。呼ばれているのは営業と社長の側近だけ。すごい。常人にはできない発想だ。軍人だけで戦争ができるわけないだろうに。

後方支援部署は社内でも割と力の強い部署で、おそらく社長は「自分の意見を否定されることが嫌」で彼らを呼ばなかったのだろう。器の小さい哀れな男。そんなんだからいいカモにされるんだよ。そもそも自尊心と社運を天秤にかけるな。

 

案の定第一回アプリ会議は「うんざり」の空気のまま「とにかくやる!」という社長の意思を追認するだけに終わった。

営業は営業で関わらないことに必死だし、側近は側近で他社分析も全体戦略もアプリがどいうものかすら分からないのに、ただただ勇ましいことを言う。アプリ業者も内心呆れていただろう。僕も情けない。

 

近々第二回アプリ開発会議が開かれる予定となっている。

営業勢は早々にだんまりを決め込む予定らしい。生え抜き社員が多い弊社では一人一人が護身術を身に付けている。さすがだ。

とはいえ、アプリ開発は下手すると数千万円かかる事業。ただでさえ凋落の影濃くなってきた弊社でその損失は命取りになりかねない。

 

ここはちょっと、僕だけでも反抗してみようと思う。

僕はまだ入社して2年足らず。こんなことで会社を傾かせたくない。

それに、社長の性格や社内回避能力が異様に高い先輩方にもイライラしていたところだ。

 

ということで現在「先行他社がいかに優れているか」についての資料を制作中。改めて調べてみると絶望しかないわこれ・・・。ただ、会社の外に出たことのない連中にわかるのかね?これ。