「欝は甘えだ!」と思っている人に見てほしい、「父親から渡された銃で自殺した青年」の動画。
大嫌いなまとめサイトを「人の情報の残飯でまがい物を作る人間の屑どもめが!」と罵りながら、いつものように巡回していたところ久しぶりにビビっとくる動画にであったので紹介しますよ。
見る人によってはショッキングなので今割と幸せな人は見ないでください。
そんな幸せな人の為に内容を簡単に説明すると「ろくに就職もしてないでゲームに熱中する息子に激怒した父親が、「これで自殺しろ!」と言わんばかりに息子の前に銃を置いたところ、ノータイムで息子が自分の頭をぶち抜いた」という動画です。
あまりに内容がキャッチ―でかつ、親のリアクションが常軌を逸して面白かった為、フェイク(偽物)を疑っていたのですがどうやらタイで起こったモノホンの自殺動画だそうで。
人の死にざまに簡単にアクセスできるネット最高!と思いつつ、中世の公開処刑に群がる民衆のようなメンタルで気が付いたら何回もリピートをしておりました。
古来より人死にはエンタメ。おそらく切腹の文化がまだ日本にあったらな、配信コンテンツとして絶大な人気を誇っていたでしょう。「影腹注意www」的な。
まさにクールジャパン。
とまあ、そんなことは良いとして、この動画について僕が真っ先に思ったのは、
「まあ、自分の死を最大限に生かせる千載一遇のチャンスが突然降ってきたらそりゃあ引き金を引くわな」
ということでした。
この青年は明らかに抑うつ状態にあります。「ゲーム熱中している」ように見えますが、これはたぶん唯の現実逃避でがームの内容なんてちっとも楽しんでないのでしょう。たぶん僕がいつもスマホばかり見ているのといっしょです。
そしてこの親。いくら、しつけと言っても息子の目の前に実弾装填済みで安全装置を解除した銃を置くのは正気とは思えません。
この親にしてこの子あり。息子の抑うつ状態の一端をこの親がになっていることは明白で、息子もそれを憎悪と言う形で自覚していたことでしょう。
そこに降ってわいたのがこのチャンスです。もうチャンスとしか言えません。
いつでも死んでいいと思っている自分が、唯一憎悪として生の感情抱いている相手が「どうせ無理だろう?」という嘲笑を込めて、すぐ死ねる道具を目の前に置いてくれたのですから。
銃で頭をぶち抜く以外の選択肢はありえません。青年は自分のアイデンティティを貫き通したのです。
案の定、両親はごみ虫みたいに慌てふためき、その後、
救急車を待ち切れず、表の通りまで息子を抱えて運び出したようで、 店内や表の歩道に引き摺られた血の跡が・・・
といった様子だったようです。すっごく間抜けで笑えますね。
結局青年は望み通り亡くなったようですが、きっと天国で現世では見せたことの無いような笑顔を浮かべていると思います。
しかし、この父親は今後どうやってきていくのでしょう。 自分の無知でばかな選択で子供が自殺し、その映像が世界に出回っただけでも、生きていられないレベルなのに職業が警察官と言う事でおそらく職も危なくなるでしょうし、そもそも今の土地にそのまま暮らし続けることが出来るのかもわかりません。
父親は全て失い、お先真っ暗です。自殺するかもしれません。
それでも息子は天国で狂喜乱舞するでしょうが(僕も小躍りすると思います)。
とまあ、このように抑うつ状態にある人は、チャンスがあれば簡単に死にます。
日本でもこの自殺した息子と同じ精神状態の人はごまんといることでしょう。
おそらくあなたの身近にもたくさん。
「欝は甘えだ!」というイデオロギーの存在を僕は死ぬまで否定しますが、残念ながらそれでも納得できない方が多くいるようです。
そういう方には少なくともリスク管理という面で「欝は甘えだ」という態度を控えることをお勧めします。
繰り返しますが欝に対する精神論やショック療法で人は死にます。
いや「死ぬチャンスを窺っている」といってもいいでしょう。
そして今の時代、直属の部下(同僚)等が自殺したと言う事実を「まあ、そんなこともあるかもねー」で済ます会社は多くありません。結局、大ダメージを受けるのは自分です。
「欝は甘えだ!」というイデオロギーを愚直に貫き通していたら、この父親と同じ運命を辿ることになるかもしれませんよ?
そうなりたくないのなら、欝の人に対して表面でも良いように接して下さいね。
その島のひとたちは、ひとの話をきかない――精神科医、「自殺希少地域」を行く――
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