ギャラクシー街道

総評:25点。コレは映画なのか?映画に費用対効果を求める人は行っちゃだめ。
 
正直、最近の三谷さん「やっかいなおじさん」化がすごい速度で進行している気がして見てられない。「え、今のが面白いやつ……?でも三谷さんだし…。アハ…アハハハ…」みたいな。そんな感じしません?とはいえ、僕は三谷作品は結構好きだし、特に「12人の優しい日本人」なんかは傑作と思っているから、さしたる抵抗もなしにこの映画を観に行ったわけです。
 で、感想。
 

 

まずこれ、舞台が宇宙である物語上の意味がびっくりするほど無い!一応宇宙のレストランを舞台にした群像劇ではあるんだけど、そこで繰り広げられるお話が「元カノが婚約者を連れて店に来た」だの「彼女と別れる別れない」だの「デリヘルを呼ぶ呼ばない」だの、それこそ舞台が喫茶室ルノアールだとしても成立するような出来事ばかり。
中野で終わるような話を宇宙に持ってきても面白くねえんだよ!つーか舞台を宇宙にしたせいで余計飲み込みにくいわ!
 
おそらく三谷さんはMIB的な「スペースギャグ」をやりたかったんだと思う。自由でやりやすいしね。開始1分ぐらいでそれはわかる。「あーその犬やっぱり切手舐めちゃうんだ…フーン。」的な。そして、おそらく舞台を宇宙にしたそれ以上の意味はないのだろう。でもMIBしかり、ちゃんとしたストーリーがあるからスペースギャグが輝くわけで、それって本末転倒じゃない?
 
で、肝心のストーリーです。いや酷いよ。これ。群像劇としたら最低の部類。
群像劇ってさ、一見別々の目的で行動を取っていたグループひょんな事から出会ったり、お互いの行動が知ってかしらずか影響を与えあったりしながら、最後徐々に収束していく所が面白いポイントじゃん?
でもこの映画、各々が交わるポイントが殆ど無いんですよ。伏線も無し。なんて斬新。しかもそれぞれの物語は出来の悪いショートコントのような代物で、その上、話自体は驚くべきことに本筋関係なくどれも映画途中で完結しちゃってるんです。これで群像劇?なんて斬新。
 
まあ、さすがにクライマックス近くには全員集合するんだけど、もう終わった物語の人々がとりあえず集合しただけだから、唐突感がMAXな上に何の繋がりも感動も生まないというこの雑さ。本筋もいい加減で一体この映画の着地点はどこなのか?終了間際になってもビタイチわからない。
そこにさらにとってつけたような宇宙要素が本筋に入ってくるから、もう完全に観客は置いてけぼり。
「他人とおでこをくっつけることで妊娠する雌雄同体の宇宙人」ってなに?都合よすぎない?つーかその説明微妙におかしくない?
あのさ、「これは宇宙の話だから!宇宙人だから!」でなんでも済むと思うなよ!
なにより、そんなわけのわからないもの恋愛映画の本筋に絡ませるなよ!
 
この他にも割と目を疑うような展開が目白押しで、もうぶっちゃけ一本の映画、物語としての体をなしてないよ。特にサンバの件とか噴飯物ですよね。
 
ストーリーがこんなんだから案の定スペースギャグも滑りまくるし、三谷さんどうしちゃんったんですかね。何度も言うけどこれならまだルノアールを舞台にした方が良かったんじゃないですかね?
なにはともあれ、三谷幸喜に自由な舞台を与えるとほんと怖いと思う。
 
あと演出とかも…くどくないっすか?それと、それと……
 
あーまだ言いたいこともたくさんあるけれど、後は劇場で確認してください。映画は「映画館で映画を見ることに意義がある」のですから。
 
※【補足】良かった点
綾瀬はるかに体操着っぽい服着せてウロウロさせてるだけでとりあえず二時間は退屈しない(男性限定)
小栗旬のパートだけかろうじてコントとして成立してて素直に面白かった。ただこれは小栗旬力のせいだろう。