殺せるアイドル

小金井市冨田真由さんが襲撃された事件で、彼女はシンガーソングライターだとか、ただのストーカー事件で警察のケアの方が問題だとか色々な事が言われているけど、やっぱりこれは彼女がアイドル・・・いやシンガーソングライターか、だからこそ起こった事件だと思う。

 

だってたぶん彼女がシンガーソ・・・面倒くせえな!アイドルじゃなかったら絶対に起こらなかった事件だよ?これ。

まあどんな職業であれ「キチガイに目をつけられたら終わり」というのはその通りなんだけど地下アイドルともなればそのリスクはこのご時世看過できないほど高いと思う。

アイドルとか歌手とかそういう表現者たちには、文字通り「殺したくなる」ほどの魅力を持っている事がその条件の一つとして組み込まれてしまっているんだから。

 

今までは、その魅力が突出している人だけが事務所に採用され、ガードがつき、「殺したいけど殺せない存在」いわば、1人の人間から「残機無限の偶像(アイドル)」になるという仕組みで最終的な危険は回避してきたわけだけど、この人類総発信者時代、そう単純にはいかない。

そこそこ「殺したくなる」ほどの魅力を持った表現者たちが、残機0のまま活動ができる状態になってしまった。

 

「殺せるアイドル」の誕生である。

 

正直に言えば彼女たちは魅力的である。だって(どんな意味であれ)「殺せる」んだもの。普通のアイドルは頑張ったところで容易には殺せない。

残機が無限では無いからこそ、そこに生身の人間としての魅力が見えるのだ。

しかし同時に、その気になればどうにだってできるという倒錯した安心感をファンが得てしまい、信じられない位深い感情の繋がりを対象と(一方手に)結んでしまう事も割と簡単に想像がつく。

そしておそらく、「殺せること」と地下アイドルの魅力は不可分だ。

 

こういう複雑な状況を残機0でコントロールしていかなければならない地下アイドルにはやはり「フリーの娼婦並みの危険」が伴っているように僕には思えてならない。