自称プロブロガーを生贄にするプロブロガー
この記事とか
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最近「プロブロガー」とかいう言葉が、いわゆる「ネトウヨ」的な新しい蔑称として定着しつつあるのをみてちょっと興味がわく。
なんでも仕事を辞めてまでプロブロガーに専念する人もいるそうだ。
それで「個人ブログ一本でお金を稼いでいこうとするその根性、ステキ!」とか思いながらグーグルで検索をかけていたんだけれど、ついにプロブロガーと出会う事はできなかった。
「大手企業退職して主婦向けの情報サイトをやっている人」とか「会社を退職して、10年近くやってるモバイル情報ブログを本業にする人」とか「公務員を辞めて、ブログで飯を食っていこうとする月収益5000円の人」とかそんなのばっかり。
あのさ、これってさ、要は「他人の生産物を代わりに売る事で利益を得る」っていう古式ゆかしい代理店ビジネスで、珍しいものでもなんでも無いじゃん。
それこそ、保険外交員とかヤクルトのおばちゃんとかと同じで、どこにでもいるよ、こんな人。
なんだよー、プロブロガーなんて言うから僕はてっきり「俺は自分の伝えたい事、書きたい事を書く!俺に価値を感じろ!そして俺の魂に、文章に金を払え!」という、どちらかというと小説家よりのロックな人たちだと思ったのに。
そして、それで叩かれるようなら「世の中が間違ってる!」と言ってあげようと思ってたのに!
ミスターマリックがただの手品師だった時並みのショックだ。
しかし、そうなるとまた別の疑問も浮かぶ。
じゃあ、冒頭の人たちは何故そんなに激烈な感じでプロブロガーを蔑んだり怒ったりしてるんだろう。
前者の人はまあプロブロガー乱立によるグーグル汚染に怒っているるみたいだからわからない事も無いけど、同時に「それはグーグルにいうべきでは?」とも思う。
もっとやばいのは後者の人で
自称プロブロガーはどんどん増えて欲しい。彼らが生活に行き詰まり、どんどん落ちぶれ、足掻いていく姿は、とても魅力的なコンテツだからだ。才能がない連中の、人生をかけた壮大な一発ギャグを見守ろう。こちらは、彼らが首を括るその瞬間まで見届ける覚悟はできている。
とまで書いている。この人は保険外交員になろうとする人や漫画家になろうとする人とかにもこの言葉を吐くんだろうか?
まあ、吐くんだろうな。
「道を外れようとするものを蔑み、無謀を蔑み、自己肯定感を保つ」というのは、これまた古式ゆかしい人間の精神防衛スタイルであり、この人はまさにそういう性格の持ち主で、今、最も「稼げそうで、楽しそうで、でも厳しそう」なプロブロガーという職業とそれを(おそらく)深い考えもなく目指す人々に矛先が向かったのだろう。
成功の可能性の低さは置いておくとして、何かを始めようとする赤の他人を、ほとんど何も知らずに罵る人の気持ちは僕には理解できないけれど。
まあ、構図としては場所や世代を問わずどの世界でもありふれている事だよ。
「ゆとり」VS「老害」みたいなそんな感じで、さして目新しくも無い。
それで、なんでここまでブクマとかでコメントが過熱するんでしょうね。
そういう点から見ると、僕からしてみればこの人達こそプロブロガーだと思う。よくわからん私念や蔑視を恥ずかしげもなくさらけ出し、それを生贄にぶつけることでPVを稼ぎ、収益を得る。本まで出してるしね。これ以上無いくらいのプロブロガー。
そういう、性格、文章勝負のアクの強いプロブロガーは嫌いじゃ無いけれど、昔からある対立を違うものに置き換え、さも新しく過激に見せるという手法は自称プロブロガーとさしてかわりが無いのであんまり良くは無いなと思った。
ただ、この人のようなプロブロガーが増えれば日々手斧が飛び交う懐かしいインターネットが再現されるんじゃ無いかと期待はしている。