「バズらせる」という考え方がネットをつまらなくしているのではないか、という疑惑

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最近のインターネット界隈はどこもかしこも己のコンテンツを「バズらせる」事にご執心の様子だ。一介のはてなブロガーですら「いつかバズらせてやるぞー」的な事を宣言し出すほどバズには価値があるらしい。

ということで、3月のはてぶ月間ランキングベスト5を見てみよう。

 

 

1位 グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ プロジェクト・アリストテレスの全貌 | ITトレンド・セレクト | 現代ビジネス [講談社]

2位ネットで情報収集するより何倍も濃密な学びが得られる10冊の良書(おすすめ本レビュー) - Literally

3位歯医者がベタ褒め。店頭には置いてない「歯磨きグッズ」 - NAVER まとめ

4位1000時間以上のクラシック・ジャズが解説付きで無料DL可能に。「子どもたちのために」コレクターがライブラリー化 - Engadget Japanese

5位お坊さんをお呼びした家族葬(D.I.Y.葬)が総額42,360円で完璧に出来たお話

 

うーん、皆さんこのコンテンツ、本当に面白くて価値があると思ってます?

まあ、5位の家族葬の話は個人体験談として興味深いけど、それ以外はどれも「ちょっとしたお役立ち情報」程度の代物にすぎず、シェアした瞬間に忘れてしまう様なものばかりで、特に1〜3位はまさに「バズられるためだけに作られた」コンテンツ感ありありである。

 

つまるところ、「バズられる」コンテンツというのは概ねそういうものなのだろう。タイトルは「バカにでもわかるよう」キャッチーで、内容も平易かつどこか知的、そして何よりも「誰が見ても」悪い感情はわかない、そんなコンテンツこそバズる。もしかしたら1位のグーグルの記事なんかは自分の意識の高さを見せつけるためにみんなシェアしてるという側面もあるかもしれない。

 

個人単位では逆に「煽る」ことも有効だ。図らずも僕がやってしまった様に。

※参考

arihuretaziken.hatenablog.com

世代間ギャップ、イデオロギー、男女の思考そういう明らかな火種に近づいて「極端かつ断定的な」トーンで自分の意見をつづる。とにかく、例外を排除し「これこそが正論」というところまで厚かましく書けるとなお良い。

人は、こういう論争には何らのポジションを持っているもの。表には出さないだけでね。普段抑圧されている分、火が付くと止まらない。賛同・反発様々な意見によってその記事は大いに拡散されるだろう。まあこれは「バズる」というより炎上に近いけどね。

 

この他にも「バズらせる」ための手法はたくさんある。だが、大体共通しているのは内容的にも感情的にも「わかりやすい」ということだ。

そこは、バズらせようとする個人ブロガーもそこは分かっているらしく、巷には日々タイトルで要旨が一発で分かる、スマートな記事があふれていて、案の定そのいくつかはバズっている。

 

しかし、それこそがインターネットをつまらなくしている原因なのではないか?

 

これらの記事は「わかりやすさ」を追求するあまり、ディティールとか話の深さとかいわゆるその記事の持つ個性がざっくり削られてしまっているから全然面白くない。

近頃流行りの中身スカスカキュレーションサイトなんかそのいい例だろう。

残念なことにそんな雑な記事でもバズられはするし、PV数も稼げるから検索エンジンでも上位に表示される。

かくしてインターネットは単なる注目商品の羅列や、ためしてガッテン的ゆるふわノウハウ集、あるいは妙に一方的なオピニオンブログに埋め尽くされるわけだ。

ちょっと興味のあることがあって検索かけたときトップにNAVERまとめが出てきたときの脱力感といったらもう・・・。

 

個人的にインターネットは「少数を知る」というところにその面白味があると思っている。ドラゴンボールって面白い!」という話より漫画ゴラクでやってる今日からヒットマンっていう漫画は銃器描写も精密だし戦略や心理戦も迫真、まさに日本漫画史上の最高のガンアクション漫画だよ!」という話の方が熱量も高く面白いに決まっているのだ。でもそらくバズられるのは前者だ。

 

「バズらせる」という考え方が正として扱われる限り、少数を狙ったニッチなコンテンツは淘汰され、多数をむいた「わかりやすい」コンテンツが量産され続けるだろう。そればかりでなく、ブロガーも「自分の個人的なこんな話、バズらないだろうな」と意識してしまい書かなくなるかもしれない。ますますインターネットの面白味は無くなっていく。

 

このままではよくない。

 

個人ブロガーの方々よ、もうバズるバズらないはどうでもいいじゃないか。もっと、個人的で、ニッチで、誰にも理解されないような話や、性癖をどんどん書いてくれ。僕はそういう話が聞きたいんだ。昔のテキストサイト全盛期の様に。くだらなくてどうでもいい話にアクセスできることこそネットの楽しさじゃないか。少なくとも僕は見るしブクマも付けますよ。

 

 ↓この漫画は掛け値なしに面白いので後で記事を書くかも

今日からヒットマン 1 (ニチブンコミックス)

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